三栄書房「田中角栄 絶対に結果を出す「超」時間術」/向谷匡史・著

読書記録です。

 

田中角栄 絶対に結果を出す「超」時間術」/向谷匡史・著

今回読んだのは、「田中角栄 絶対に結果を出す「超」時間術」。

田中 角栄 絶対に結果を出す「超」時間管理術 (単行本ソフトカバー)

 

第64・5代内閣総理大臣を務めた政治家・田中角栄(たなかかくえい)氏の時間の使い方について、元週刊誌記者で現作家・浄土真宗本願寺派の僧侶(!)でいらっしゃる向谷匡史(むかいだにただし)氏が考察した本です。

 

政治活動のめまぐるしい忙しさの中で、「コンピューター付ブルドーザー」と称された田中角栄氏がどのように仕事をしてきたのか。

本著の中で、特に印象に残った部分をまとめます。

 

1.回答がYesにしてもNoにしても、その場で即決する。仕事を後日に持ち越さない。

2.余計な雑談に時間を使わず、“挨拶不要、用件は手短に結論から”。

3.人心掌握力をつかって、周りのチカラを気持ちよく得る。

4.日頃から「段取り」を整えることで、即決力を上げる。

 

以下、詳しく見ていきます。

 

1.回答がYesにしてもNoにしても、その場で即決する。仕事を後日に持ち越さない。

 

角栄氏のもとには、毎日ものすごい数の人が訪れ、陳情(現状の問題点の説明と、それに対して善処してもらうようお願い)する。

だが、それをいちいち「検討します」と回答を後日に伸ばしていては、仕事はたまる一方になる。

また、後日延ばしをすることで、待たされている期間だけ相手側も期待してしまい、結果Noの回答を出すと、「だったら早く言ってくれればよかったのに」と思われてしまう。

なので、回答がYesにしてもNoにしても、1つの陳情に対し、3~5分で即決していくこと。

Yesの場合は秘書に引き継ぎ即座に着手。Noならその理由を述べて終了する。

「仕事を溜めず、後日に持ち越さないための“即決”」である。

 

 

2.余計な雑談に時間を使わず、“挨拶不要、用件は手短に結論から”。

 

1つの陳情に対し、3~5分で即決していく角栄氏にとって、時候の挨拶ほど無駄なものはない。

また、時候の挨拶が長かったり、あるいは用件の話が始まっても、その着地点が見えないと、「いったい何の用だ?」と相手の真意や意図を探るために思考をめぐらせることになる。

一方で、先に用件の結論を聞くことにより、その後、話を聞きながら結論に向けて思考を集中させることができる。

 

 

3.人心掌握力をつかって、周りのチカラを気持ちよく得る

 1日24時間という万人に平等に流れる時間のなかで、いかに多くの仕事を効率よく進めていくか。

 

総裁選というここ一番の大勝負の最中も、事務作業をつづける秘書やスタッフのもとへ顔を出し、ひとりひとりにねぎらいをかけたという角栄氏。

怒涛の忙しさの中でもヒラのスタッフにまで気遣いを見せる角栄氏を見て、「この人のためなら」とスタッフたちはふんばりを見せたという。

 

また、会社などでもそうだが、トップや上役の立場の人間は、ただ「ああしろ、こうしろ」と指示するだけでは部下からの信頼を得られず、たとえその報酬を用意したとしても、「自分はラクしていいよな」などと反感を買う。

 

だからこそ、ハッパをかける時などはまず自分が動きながら。

自分も動くことで、まわりの部下も「トップ自らそこまでやっているなら、自分たちもやらなければ」と力を出すようになる。

 

人望のある人間は、まわりから、いかに気持ちよく協力してもらうかを心得ていて、それにより同じ時間の中でもここぞの踏ん張り力が変わってくる、という話である。

 

 

4.日頃から「段取り」を整えることで、即決力を上げる

陳情は1件あたり3~5分で即決、の角栄氏だが、行き当たりばったりの思いつきで決断を下しているわけではない。

日頃から思慮をめぐらせ、案件に対して仮設を立て自分の中でシミュレーションをするなどして段取りを整えておくことにより、「即決」はなされるものである。

 

また、交わした会話や得た情報をその都度忘れてしまっていては、「仕切り直し」のための会話の時間が必要になり非効率である。

だからこそ、角栄氏はその「仕切り直し」がないよう、日ごろから記憶とメモに折に触れて目を通すことで、決断への時間を短くしている。

 

 

おわりに

 こちらも偶然書店で見つけた本なのですが、著者である向谷匡史氏の本を以前読んだことがあり、わかりやすく、すぐに役立てられることが書いてある良書だった記憶から、今回も手に取って読んでみることに致しました。

 

田中角栄氏が首相として在任されていた時代は私はまだ生まれておらず、そこを思い返すようなことはできないのですが・・・

時代もあり、なかには昭和の時代ならではのエピソードなども当然ありますが、特に上に上げたようなことは、現在でも活かすことのできる時間術は相当にあると思います。

エッセンスを拾うだけでもかなり価値あり!だと思いますし、上記に挙げた以外でも様々な時間術の記述がありますので、ぜひ読んでみてください。